インドで農産物取引の自由化に反対する農民の抗議デモが続き、世界の著名人がツイッターで支持を表明するコメントを寄せている。インド政府は猛反発し、警察が捜査すると発表。ツイッター社に対し、デモ支持者らのアカウントを停止するよう求めた。
農民の抗議は、農産物の取引を自由化したり、政府が米や小麦を一定価格で買い取る仕組みをなくしたりする新法の成立に反発するもの。自由化による企業の参入で作物を買いたたかれたり、価格が下がって収入が減ったりしてしまうことを不安に思っている。デモは昨年11月下旬に始まり、警察との衝突でけが人も出ている。
スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさんは2日、インド政府が抗議現場でインターネットへの接続を遮断したという米CNNの記事を引用し、「私たちはインドの農家のデモと団結している」と投稿。米国の人気歌手リアーナさんも、同じ記事について「どうして私たちはこれを議論しないのか」とツイートした。リアーナさんには、1億人以上のフォロワーがおり、リツイートや「いいね」は100万件を超えた。
これらのツイートに対し、インド外務省は3日、「不正確で無責任」との声明を出した。デモに関連するハッシュタグやコメントを「扇情的」と批判し、対抗策として「インドはプロパガンダに反対する」というハッシュタグを用いた投稿を拡散している。
デリー警察は、対立をあおったとする投稿者などへの強制捜査を始めると発表した。グレタさんらを名指しはしなかったが、ネット上での政府への批判を萎縮させる効果を狙っていると指摘される。
インド政府は、ツイッター社に約250のアカウントの停止を要請。同社は当初、これらのアカウントを停止したが、後に解除した。こうした同社の対応にも、インド政府は法的措置を取る可能性を示唆している。(ニューデリー=奈良部健)